退職初年度の税金

税金について、具体的な金額はいくらにになるのでしょうか?

 

私の場合だと、前年度ベースの概算で以下のとおりです。

 

住民税:35万円(ふるさと納税10万円分控除済)

 

退職金:13万円(退職金2000万円、勤続年数31年)

    2000万円 - 800万円 ー 70万円 × 11年 × 1/2 = 215万円(課税退職所得金額)

    215万円 × 10% ー 9.75万円 = 11.75万円(所得税

    11.75万円 × 2.1% = 0.2467万円(復興特別所得税

    11.75万円 × 10% = 1.175万円(地方税

 

仮に退職金増税が行われて、20年超の控除額が40万円になったとしても、所得税で33.25万円。金額で見ると2000万に対して33万なので影響は少ないと言えますが、率で見ると150%アップですから感情的には穏やかならぬものがあります。

 

退職金が高くないので影響は少ないですが、額が高い人、勤続年数が長い人はより大きな影響があります。

退職後の健康保険 3

④法人を設立して社会保険(国民健康保険料含む)に加入

 

資産管理を目的とするマイクロ法人を設立し、個人から法人へ所有する不動産や有価証券を移して、会社から役員報酬と言う形で報酬をもらうようにする。

社会保険に関しては法人化することにより、国民健康保険国民年金」から「協会けんぽ+厚生年金」という組み合わせに変わり、個人としての社会保険料の負担は大きく軽減されます。

 

注意点としては、イニシャルコストとして法人の設立・費用、資産の移転費用、ランニングコストとして法人の運営費用が必要になります。それ以外にも法人化には、メリット、デメリットが多々あります。

なお、法人化の損益分岐点は年間所得700~800万円程度と言われてるようです。(不動産投資の場合)

 

私は有価証券専門なので、法人化は考えていないので詳細は省略しますが、法人化を目指す場合は先ずは自身で情報収集をしましょう。事業実態のないペーパーカンパニーとして、税務署より節税ではなく、脱税・租税回避とみなされないよう細心の留意をしましょう。

 

 

退職後の健康保険 2

国民健康保険に加入

 

前記した①②を選択しなければ、多くの場合国民健康保険に加入することになります。国民健康保険の最大の特徴は、その加入資格の広さ。日本国内に住所を有する方であって、以下のいずれにも該当しない方は、国民健康保険の被保険者となります。ある意味、日本の公的医療保険の中で最もコストパフォーマンスの低い保険とも言えます。

・ 他の医療保険(健康保険)に加入している方、その被扶養者
生活保護を受けている方
後期高齢者医療制度に加入している方
・ 短期滞在在留外国人の方 など

生活保護受給者や収監中の方は、国民健康保険の加入資格はありませんが、実質的に本人負担無で医療を受けられます。憲法25条 生存権の視点からも問題ありません。

 

その他の特徴として、運営は各自治体毎に行こなわれており、当然ながら保険料(税)も各自治体毎に異なります。

 

※ 各自治体の国民保険料を計算してくれる便利なサイトが複数ありますので、リンクを貼らせていただきます。

 

www.kokuho-keisan.com

 

www.mmea.biz

 

sukima-manage.com

 

 

また、健康保険組合と異なり、扶養という概念がありません。加入は世帯単位となり、世帯主が家族の代表として世帯構成員全員分の保険料(税)を納付しています。

 

メリットとしては、各種減免措置のメニューが用意されていること。災害、失業、休廃業、事業不振、病気等、生活困窮、等々の理由で保険料(税)の納付が困難な場合は、先ずはお住いの地方自治体に減免対象となるか確認することを推奨します。減免を受けることでのペナルティは、ありません。

 

デメリットは、相対的な保険料の高さ。被保険者の構成から健康保険組合に対して不利な条件なのに、徴収率は低く、減免率は著しく高いのですから已む無しとも言えますが…

 

※ 国民健康保険制度の詳細については、厚生労働省HPの「国民健康保険制度」をご参照下さい。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/koukikourei/index_00002.html

 

※ 国民健康保険制度の課税(賦課)状況については、総務省HPの「令和3年度 市町村税課税状況等の調(国民健康保険関係)」をご参照下さい。https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/ichiran09_21-2.html

 

※ 国民健康保険料の収納率については、豊島区HPの「国民健康保険料 収納率向上の取り組み」をご参照下さい。

https://www.city.toshima.lg.jp/108/kuse/shingi/kaigichiran/006474/documents/02-2unkyoushiryou3.pdf

退職後の健康保険 1

FIRE(早期退職)した後も、国民皆保険制度の日本においては何らかの健康保険に加入する必要があります。

 

※ 国民皆保険制度の特徴について詳細を知りたい場合は、厚生労働省の資料をご参照下さい。

https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000377686.pdf

 

選択肢は、以下の4つになります。

 

 

①家族の健康保険に被扶養者として加入

一定の条件を満たせば、家族の健康保険に被扶養者として加入することができます。

自分で保険料を支払う必要がないので最もお得ではありますが、経済的自立とは些かミスマッチな気がしますので詳細は省略。

 

※ 一定の条件については、全国健康保険協会HP(協会けんぽ)の「被扶養者とは?」をご参照下さい。

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat710/sb3160/sbb3163/1959-230/

 

 

健康保険組合の任意継続

退職後も最長2年間、今まで加入していた健康保険組合に継続して加入することができます。

 

メリットとしては、(1)扶養家族がいる場合、引き続き被扶養者にできること。(2)健康保険組合独自の福利厚生を受けられること。があります。

 

デメリットとしては、退職時の標準報酬月額保険料が全額自己負担になります。一般的には退職前の保険料は労使で折半していましたが、使用者(会社)負担分がなくなりますので2倍になるイメージです。但し、保険料には上限があり、退職時の標準報酬月額が30万円を超えていた場合は、30万円の標準報酬月額により算出した保険料となります。(協会けんぽの場合)

なお、この上限は組合によって異なります。協会けんぽで標準報酬月額30万円超の高額の所得があった場合、任意継続後の保険料は2倍未満になります。上限が高い組合で高額の所得があった場合は、高額の保険料を最長2年間払うことになりますで、事前に確認が必要です。

 

※ 健康保険任意継続制度の詳細については、全国健康保険協会協会けんぽ)HPの「保険料について」をご参照下さい。

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g6/cat650/r321/#q1

退職後の税金(退職金 おまけ)

税制は頻繁に変わるものですが、退職金に関する税金については残念(課税強化)な方向で政府の議論が進んでいるようです。

 

2023年6月6日に総理大臣官邸で「新しい資本主義実現会議(第19回)」が開催されました。現行の退職所得課税制度が労働移行の円滑化を阻害していると指摘し、本税制の見直しを行うとしています。

 

労働移行の円滑化を阻害している要因は、他に幾つもありそうですが何故なのでしょうか?

現在と同一待遇以上の転職先が簡単に見つからないから、労働移行(転職)が増えないだけの話だと考えます。

 

※ 会議の詳細、改定案の詳細を知りたい場合は、内閣官房HPをご参照下さい。

  改訂版案のP12に「退職所得課税制度等の見直し」の記載があります。

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai19/gijisidai.html

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai19/shiryou1.pdf

退職後の税金(退職金)

FIRE(早期退職)に勤務先に退職金支給予定額を計算してもらっても、それがそのまま手元に残ると思うのは早計。退職金は分離課税になりますが、しっかり課税されます。

20~30代でFIREされる場合は、退職金もそれ程高くないと思うので気にする必要は少ないと思います。反対に定年間近で(プチ)FIREする場合は、退職金も高くなっているので要注意。特に大企業に勤務していて勧奨退職で割増退職金をもらう予定の方は、税額がいくらになるかを事前に確認し、資金計画を考えましょう。

 

税金の計算方法は、以下のとおり。

 

( 退職金 - ①退職所得控除額 ) × 1/2 = ②課税退職所得金額

 

①退職所得控除額

勤続年数20年以下  40万円 × 勤続年数 

勤続年数20年超   800万円 + 70万円 × ( 勤続年数 - 20 )

※勤続年数端数切上

 

②課税退職所得金額 × 税率 - 控除額 = ③退職金の所得税

 

③退職金の所得税額 × 2.1% = ④復興特別所得税

 

②課税退職所得金額 × 10% = ⑤退職金の住民税額

 

③~⑤の合計が、税金になりますのでご注意下さい。

 

※ 退職金に関する税金の詳細を知りたい場合は、国税庁HPをご参照下さい。

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/02_3.htm

  

 

退職後の税金(住民税)

FIRE(早期退職)後に仕事をしないということであれば、給与所得・事業所得に伴う所得税国税)は発生しません。

但し、住民税(地方税)は、前年の所得に対して翌年度に課税されます。例えば、2023年3月に早期退職して無収入になったとしても、2022年1~12月に所得があったのであればその所得に対して2023年度に住民税が課税されますので手元資金を残しておく必要があります。

給与所得者に対しては、6月~翌年5月まで毎月特別徴収されますが、FIRE後は普通徴収となり、6・8・10・1月の4回での納付となります。

特別徴収と普通徴収では、1年トータルでの税額は変わりません。しかし、納付回数が減るので、1回当たりの納付額は普通徴収の方が当然大きくなりますので、驚かれないように注意しましょう。

 

FIRE前に正確な税額を把握するのは困難ですが、サラリーマンで前年と所得がほば変わらないのであれば、勤務先から「給与所得等に係る市民税・県民税 特別徴収額の決定通知書」を5月に渡されますので、一定の目安とします。

 

ふるさと納税制度を活用している場合は、住民税の充当・控除が記載されていますので、確認しましょう。FIRE後は所得が大きく減少すケースが殆どだと思いますので、経済合理的にふるさと納税を利用することもなくなると思いますので…

 

なお、FIREの翌々年度以降は、基本的にFIRE後の下がった所得をベースに課税されます。年と年度のズレがありますので、元々の所得が高い場合は翌々年度に限ってはご留意を忘れずに。

 

住民税の詳細を知りたい場合は、東京都主税局HPをご参照下さい。

https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/kojin_ju.html